家というのは「命をあずける場所」でもあります。
今回は、いろいろな災害の中で「命を守ることの出来る住宅」というものを、考えてみたいと思います。
日本は自然災害の多い国です。
一年中、この国の何処かで地震、台風、洪水など、様々な災害が発生しています。
さらに最近では、土石流や竜巻、火山の噴火と、今まであまり意識していなかった災害がニュースになっています。
気になるのは、今までに災害が無かった場所、想定していなかった場所で、「突然発生する自然災害」があることです。
不安感を煽るつもりはありませんが、この「想定外の災害」というのは、非常に怖いと思います。
たとえば、同じ自然災害でも地震であれば、建物の耐震性についての技術的基準がきちんとあります。
台風などの強風についても、ちゃんと構造計算した家であれば、風圧について計算されています。
このあたりは、ある意味、「想定された災害」と言えるかもしれません。
しかし、土石流や竜巻などについては、明確な安全基準はありません。
実際、土石流被害の映像をみると、壁を突き破って寝室に流れ込んだ土砂があります。
竜巻で屋根の吹き飛んだ家もあります。
これらの災害は、構造計算上「想定外」の事態です。
これらの映像をみると、普段生活している家が、外部からの力にあまりにも脆いことが判ります。
では、突発的な災害、想定外の事態から「生き延びるための家」というのは、あるのでしょうか?
外部からの力に対して抵抗力を発揮するためには、「壁」と「屋根」「基礎」それぞれが充分な強度を持ち、かつ一体的な構造であることが求められます。
このコラムの写真「防災タワー」は、このコンセプトで造られた建物になります。
住宅の場合、実用性も求められますので、このような形にすることは出来ませんが、建物全体、壁と屋根を一体化した鉄筋コンクリートで造ることで、同じような性能を持つ家を建てることが出来ます。
壁、屋根、基礎が一体で造られた鉄筋コンクリート構造物は、外力に対して非常に強い構造です。
実際、壁式鉄筋コンクリート住宅は、日本で起きた過去すべての地震で倒壊したことがありません。
地震以外の災害、たとえば竜巻でも屋根が飛ぶことは無いでしょうし、土石流で家が流される可能性も非常に低いと思います。
「絶対的に安全な家」というのは無いのかもしれませんが、現時点でそれに最も近い「あらゆる災害に耐える家」を建てるのでしたら、鉄筋コンクリートで家を建てることをおすすめします。